INTERNAL WORLD OF THE BODY

体内空間

ピーンと引っ張った状態で壁に止めてある約2m四方の布。この布は、水着やレオタードの生地に使われる伸 縮性のある素材です。その布を前にして、私はどこか張り詰めた緊張感のようなものを感じ「その緊張を解き たい」という衝動に駆られ、一筋、カッターナイフで切り目を入れました。すると布は緊張が和らぐように パックリと穴が開き少し緩みました。その布のたわみにふと安堵感を覚え、私は次から次へと夢中で切り目を 入れていきました。それは異文化の中に身を置き、自分自身と抜き合う中で葛藤していた、私自身の張りつめ た心を解き放つかのような行為でした。出来上がった布で部屋中を覆い、その中に身を置くと不思議な心地良 さに包まれました。

布は私の「心」のメタファーであり、張りつめた心の緊張を解き放とうとした潜在的な意識が、結果として 「体内空間」という作品を作り上げたのです。